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港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.75 カメのせなかはなぜまるい ルーマニア昔話

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小学3年頃から岩波おはなしの本 シリーズにはまりました。
ルーマニア「りこうなおきさき」
エチオピア「山の上の火」
中国 「白いりゅう 黒いりゅう」
スペイン 「ポルコさま ちえばなし」
デンマーク 「ものいうなべ」
ポーランド 「千びきのうさぎと牧童」

 

当時はどこの国のおはなしなのか、よくわかっていなかったのですが、
それぞれ挿絵が美しく、眺めて見るのも好きでした。

特に「りこうなおきさき」はお気に入りで、よく読みました。
その中に『カメのせなかはなぜまるい」というお話がありました。
先日、教文館でこの本を見つけ、買ってきて読み直しました。

 

 

あらすじです
むかし、あるところの、森の中におばあさんと小さな娘が暮らしていました。
ある日、二人の旅人がやってきて、パンを食べさせてくださいと頼みました。
二人は粉をこねてパンを作ります。
大きなかたまりと小さなかたまり、もちろん、大きなかたまりが自分のものです。
布をかけて蒸しあげると、小さなかたまりの方が、ずっと大きくふくらんでいました。
おばあさんは、大きくふくらんだ方を自分のものにしようと思います。
二つのかたまりを天火で焼きました。

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焼きあがったところで出してみると、

自分の分と思った大きな固まりは半焼けで小さくなっていました。
それなのに小さな固まりはこんがりきつね色に焼きあがっていました。
なんだい。これは。

見ず知らずの旅人に美味しいものをやることはないとおばあさん、
上出来のパンを戸棚にしまい込みました。
それから、床に粉を伸ばす板を置き、その上にうずくまり、娘を呼んで
「粉をこねる桶をかぶせておくれ。旅人におばあさんは出かけましたと言って、
小さなパンをおやり。あとで二人でおいしいパンを食べられるからね。」
二人の旅人が戻っくると、娘はおばあさんに言われた通りに話しました。
すると旅人は「そういうことなら、おばあさんは、今いるところに、
いつまでも、そのままでいるがいい。」と言い残して、行ってしまいました。
二人の姿がみえなくなって、家に戻り、

娘はおばあさんの隠れている桶を取り除けようとしました。
ところが、桶は取れません。

そればかりか、ねりこの板もおなかにくっついてしまいました。
かわいそうにおばあさんは、シワだらけの顔をのぞかせ、

小さな手と足を、横から突き出して、ただ、のそのそと、はいまわるだけでした。
おばあさんはカメなってしまいました。

木の葉や草の葉を食べて生き続けるようになりました。

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私はこのお話を読むたびに、ドキっとしました。
何でもいい方を自分がせしめようとすると、

酷い結果に終わると学習しました。

当時は偉人伝や教訓話をたくさん読んだ気がします。
そして、なぜか、教訓話しが好きでした。

 

ルーマニアは1930年頃までは文盲率が高く、

昔話しは代々、口から耳へと語り継がれました。
それを聴き集めて文字にしたのが、

モーゼス・ガスターというルーマニア生まれの学者でした。
ガスター(1856ー1939)は首都ブカレストの大学や

ドイツライプツィヒ大学を卒業した後、
ブカレスト大学でルーマニア語ルーマニア文学の教授をしていましたが、

ユダヤ人で、民族運動に尽くしたために、国を追われ、

オックスフォード大学に迎えられ、イギリスの民族学協会の会長を長く務めました。
専門書のみならず、ルーマニアの昔話しをまとめました。(訳者ことばより抜粋)


今回、1963年に書かれた訳者のことばを読み、ガスターのことを知りました。
ドイツのグリム、フランスのペロー、
昔話はその国独自の考え方を知るよい手立てになります。
子どもとき、昔話をたくさん聞いておくと、

後になって身を助けることもあるでしょう。

ルーマニアという国がどこに位置するのかも知らず、
ルーマニアという国の昔話とも知らなかったけれど、
カメになったおばあさんの悲劇はしっかり心に留まり、
何かの拍子に、思い出し、自戒してきました。

昔話、読んでみると、面白いですね。

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