港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.24 悲しみを越えて

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「行ってきまーす!」

昨年12月23日の午後2時、2日後に16歳のお誕生日を迎える聖菜ちゃんは
お父さんからからプレゼントされた新しい靴を履いて元気に玄関を出て行きました。
 
その1時間半後に警察から交通事故にあって病院に運ばれたという一報が入りました。
お母さんは、まさか、何かの間違いではないかと病院に駆けつけ、
聖菜ちゃんに対面すると、傷一つない顔をしてまるで眠っているように見えました。
即死だったと言われても、お母さんはとても納得できませんでした。
まだ温かく、やわらかい聖菜ちゃんを自宅に連れて帰って来てから、
事故の目撃者のお話しを聞きました。
 
ゆるいカーブのある上り坂、右から横断した聖菜ちゃんを
後ろから追うようにスピードを上げた一台の車は彼女の足に当たり、
そのままアクセルを踏み込み、左側にある鉄パイプに挟み、
聖菜ちゃんを押しつぶしたのです。
 
運転手は80歳の男性で、車は乗り上げるようにして止まり、
窓を目撃者が叩いて降りるように言っても、
周囲にいた人たちが車の下から聖菜ちゃんを引きずりだし、
応急処置をしている時も、車を降りようとはしなかったそうです。
 
免許更新をしているので、重過失にもなりません。
安全装置がついている日産ノートも運転手の能力を超えては機能しないのです。
 
聖菜ちゃんは新体操や書道の得意な積極的な明るい高校1年の女の子でした。
輝く未来が待っている希望に満ちた高校1年の女の子でした。
その未来は一瞬で、永遠に、奪われてしまいました。
 
親にとって我が子を失うほどの悲しみ、痛みはありません。
どう娘の死をとらえていいのかわからないほどの苦しみです。
大好きなお姉ちゃんを突然失った妹さんは、
悲しみにくれる辛い毎日を過ごしました。
 同級生たちは聖菜ちゃんの死を悼み、嘆き、涙を流しました。
 
そのような中で仲間が立ち上がりました。
一人ひとり、自分に何ができるか考えたのです。
そして、高齢者による人身事故の防止、
免許更新制度の改正及び自動車技術開発のより一層の発展を強く願う
キャンペーンを始めたのです。
 
自分たちのおじいちゃん、おばあちゃんの世代に
自主的に運転免許を返すように呼びかけを始めました。
 
その子どもたちに支えられて、家族も勇気が湧いてきました。
 
「大人の事情」はことのほか大きく、気持ちを汲んでもらえても、
なかなか賛同を得ることは難しいようです。
それでも、熱意は伝播し、だんだんと、こどもたちの輪は広がっていき、
キャンペーン参加者は1000人を超えました。
1500人を目標にしています。
 
私は先日、聖菜ちゃんのお宅に伺い、お線香をあげて、
お母さまからお話しを伺いました。何度も何度もハンカチで涙をぬぐいました。
何が私にできるでしょう。一緒に涙を流すくらいしかできません。
 
でも、キャンペーンを広めることはできると思いました。
新体操をする聖菜ちゃんの写真を見ながら、このブログを書き上げました。
二度と同じような悲しい事故が起こらないためいできることをしたいです。
 
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f:id:tw101:20160427074458j:image   f:id:tw101:20160427074514j:image  リュックサックの中にあったipad 
 
⬇️キャンペーンサイトです。詳しいことをご覧ください。
 
 
 
お母さまが涙を拭いて、明日を見据えて立ち上がるお姿を見たこの日は、
私の忘れられない一日となりました。