私は本を読むことが好きです。
旅をすることも好きです。
ですから、文学の舞台となった場所を訪ねる旅に出ることは最高の楽しみです。
古代ケルトにはバルティナあるいはケートハブンと呼ばれる春の祭りがあります。
この祭りの前夜が「ヴァルプルギスの夜」などと呼ばれ
魔女たちがサバトを開き大騒ぎすると言われています。
ケルトの人たちは1年を暖季と寒季の2つにわけ、
暖季を迎える5月1日と、寒季の訪れる11月1日のサァオインあるいはハロウマスの祭りとを
季節の変わり目として大切にしていました。
ヴァルブルギスナハト(Walpurgisnacht) (魔女の夜)は4月30日の日没から
5月1日未明にかけての夜のことで、
春の到来を告げる日なのです。
そう、今夜です。
ドイツ、ハルツ地方、魔女祭で有名なブロッケン山に近いヴェロニケローデは
丘の上に立つお城とおとぎ話に出てくるような
家並みが世界遺産となっている美しい街です。
ハルツ山地の最高峰がブロッケン山で、、
ブロッケン現象が初めて報告された場所です。
ブロッケン現象とは、見る人の影の周りに虹の輪が現れる現象です。
ここには旧ソ連の軍事施設や秘密警察のレーダー基地等があり、
第二次対戦後は一般の人は立入禁止になっていました。
東と西の壁がなくなり、ようやく山に入ることもできるようになりました。
そして、また、ヴェロニケローデは「魔女の町」としても有名です。
町のどこに行っても魔女たちがいます。
ちょっとリアルな魔女たちです。
市庁舎も街並みも何百年も前からのもので、中世にタイムスリップした
ような思いにかられました。
Wi-Fi事情は相当悪くて、モバイルWi-Fiもここでは使えません。
この場所のことを調べようとしても、何もわかりませんでした。
そんなことを調べずに、ただ、あなたの目で見たこと、
耳にしたこと、心で感じたことを、心に留めておきなさい。
と、魔女たちが教えてくれたのでしょう。
ベルリンにいってから、ヴェロニケローデのことがやっとわかった次第でした。
バスが入れない細い路地にあるクラシックホテルは、
何から何まで素敵でお料理も美味しくいただきました。
さて、文学でいえば、ゲーテの『ファウスト 第一部』での場面で
「ヴァルブルギスの夜」が出てきます。
他にもトーマス・マン『魔の山』や
ディズニー映画『ファンタジア』<禿山の一夜>も
「ヴァルブルギスの夜」からインスパイアされた作品といえます
アドルフ・ヒトラーは1945年4月30日から5月1日の未明にかけて自殺を図ったと言われています。
ドイツは薔薇が咲く6月が美しい季節で、旅するにはお勧めの時にです。
友人と私が企画したツアー、素敵な想い出です。