港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.38 カルメンの舞台、セビーリャ

ビゼー作曲オペラ「カルメン」はスペイン、アンダルシアを舞台に

ドン・ホセとカルメンの情熱的な愛憎劇を描いた傑作です。
フランス人、メリメが書いた原作とオペラの話しはずいぶん異なることを、
私は松本侑子さんの書かれた「ヨーロッパ物語紀行」で読み、
驚きました。
いつか行きたいと思っていたスペイン、アンダルシア地方は
イスラムとロマの気配が漂うエキゾチックな地でした。
 
2015年秋に初めてスペインに出かけました。
原作では、ボヘミアの女、カルメンは切れ長なパッチリした目、
カラスの羽のように光沢のある漆黒の長い髪、
情欲的な表情の魅力的な女性として描かれています。
 
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 カルメンの像


 
一方、彼女に翻弄される男、ドン・ホセは バスク人です。
スペイン北東部バスク地方にあるナバーラは南西部のアンダルシアとは正反対の土地柄。
バスク人は今でもスペインの一部でなく、私たちのバスクだという独立心を持っています。
 
この二人の運命の出会いはセビーリャのタバコ工場でした。
その頃タバコは貴重な輸出品で工場は兵士に守られていました。
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     タバコ工場 今はセビーリャ大学
 
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  大学構内
 
カルメンは工場で働き、ホセは監督する兵士。
オペラの最初の場面ではカルメンは派手ないでたちで、
あたりの男たちに色目を使いながら、練り歩き、ホセを見るなり、
口にくわえたアカシアの花を投げつけます。
このアリアが有名なハバネラです。
純朴なホセはカルメンに一目惚れしてしまうのです。
 
 
ある日、カルメンはタバコ工場でケンカをして、
仲間の女を切りつけ、ホセが監獄へ連行することになります。
その時通る道がシェルペス通りだと思われています。
シェルペスとは蛇という意味で、歩いてみると、
実際、道幅の狭い小路で、工場から監獄まではだいたい2キロくらいです。
 
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  シェルペス通り
 
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道すがら、カルメンは逃しておくれと、あの手この手でホセに哀願し、
同郷のナバーラ人だと大嘘をつきますが、カルメンの色香に負けたホセは理性を失い、
カルメンを逃してしまいました。
その失態で降格になったホセは大邸宅の歩哨となります。
 
ところが、ある晩、その邸宅でパーティーの夜、
踊りの仕事を終えたカルメン
「揚げ物が好きなら、トリアナのリリャス・パスティアに行こう」と誘います。
ホセはカルメンの誘いに喜び勇んで出かけていき、二人は食べて飲み、
カルメンはお皿を割り、欠片をカスタネット代わりにして、
フラメンコを踊り、ホセを誘います。そして、その晩二人は結ばれるのです。
愛欲に溺れたホセは帰営の太鼓がなっても帰らず、規則破りの朝帰りをします。 
ホセの転落の始まりです。
 
一途なホセを尻目にカルメンは闘牛士とも恋仲になります。
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嫉妬に狂ったホセはカルメンを刺し殺してしまうという大筋は同じですが、
原作には出てこないホセと同郷のミカエラは、オペラでは重要な役割を演じます。
 
熱情の女カルメンは赤、純情な娘ミカエラは青の衣装を身につけます。
 
知っているようで、知らない「カルメン」のお話。
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 胸に空洞に塔を入れてのシャッターチャンス
 
 
 
 
セビーリャにある五つ星の上のホテルでお茶を飲み、一休み。f:id:tw101:20160511034703j:image
 
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水の音が涼しげで心地よく、癒されます。
 
スペインの街にはいたるところにマリアさまがいます。
エキゾチックなかわいいマリアさまです。
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オペラ 「カルメン」といえば、マリア・カラス
カルメンとホセが歩いたシェルペス通りを辿るとき、
ずっとマリアの声が聞こえていました。
 
 
 
松本侑子さんといくスペイン カルメンの旅 2015
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