港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.165 「男はつらいよ 50 」『お帰り寅さん』

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快晴の日曜日、予約していた映画

男はつらいよ 50

お帰り寅さん 」を観てきました。

大切なお友達から特別優待をしていただいて、

いそいそと出かけて行きました。


第一作の公開から50周年となる今年、

新撮された映像と、デジタル修復されたかつての

映像が見事に織りあった見応えのある映像でした。

 

冒頭の主題歌を歌うのは桑田佳祐

山田洋次監督は渥美清と心情が深く重なる桑田佳祐

主題歌を歌ってもらいたいと強く願ってラブレターを書いたそうです。

さすがに桑田佳祐、堂々と寅さんの主題歌を歌いあげました。

 


主人公は寅さんの甥っ子満男君。

脱サラして、辞めて小説家になった49才の満男は、

7年前に妻を亡くし、中学3年の娘と暮らしています。

最新作の評判はまずまずですが、今一歩前に出ることができず、

初恋の泉ちゃんの夢を見たり、

寅さんの思い出を懐かしく思う日々を過ごしていました。

ある日、出版社の意向に逆らえず、渋々、サイン会に応じて、

書店でサインをしている時に、目の前にあの懐かしい泉ちゃんが立っていました。

オランダの現地採用でUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で働く泉は

夫と二人の子どもと暮らしていますが、

仕事で帰国していて、お土産にする本を選んでいて、

たまたま満男のサイン会に遭遇したのです。

 

突然の再会に驚く満男は「会わせたい人がいる」と神保町の

小さなジャズ喫茶に連れていきます。

かつて奄美大島であったリリーと再会します。

結婚の約束をしながら、結ばれることのなかった二人の秘話を聞きました。

そこからドラマは展開します。

 

「困ったことがあったらな、

風に向かって俺の名前を呼べ。

おじさん、どっからでも飛んできてやるから」

 

あったかな寅さんがそこにいる気がします。

 

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柴又の「くるまや」はカフェになっていて、

お隣の工場はアパートに…

時代の推移を感じます。

 


歴代のマドンナたちが一コマずつ登場するシーンは

その時代の自分の思い出も蘇ってきます。

 

そして、寅さんの話すテンポのある日本語、

マドンナたちが使う綺麗な日本語、

日本語ってすごいなあと感じます。

 

そういえば、満男が就職した会社は言問通りに面した靴屋さんで撮影されました。

二天門で後藤久美子の撮影が行われたとき、大きな人垣ができていました。

私ももちろん観ていました。

さらさらなロングヘアをなびかせる後藤久美子は本当に可愛かったです。

満男と泉、この二人も結婚しそうでしたが、満男の一押しが足らず、

泉はヨーロッパへと旅立っていきました。

 

 

 

 

 


私は寅さんの映画を映画館で観るのは初めてでした。

かつて、夏休みとお正月になると、

日本中のみんなに感動を与えてくれた寅さん。

 

国民的人気を博した『男はつらいよ』シリーズですが

私は寅さんを心から楽しむことは出来なかった時期がありました。

 


寅さんのように人情あふれ、女の子を助けては、

ふられている弟…

 


さくらは妹だから「おにいちゃん…」と言って涙ぐめばいいけど、

お姉ちゃんの私は泣いていられない!

何とか事態収拾に翻弄される、そんなことが多々ありました。

「家族に一人、問題児がいると、

寅さんを笑って観ることはできないものよ。」

曽野綾子が書いた文章を読んで、確かにその通りと思いました。

 


当時の浅草で「男はつらいよ」は特別な映画でした。

劇場には大ファンがいっぱいで、

「よ、寅さん、日本一!」などという掛け声が

あちこちから飛び交い、映画と観客が一体となっていたそうです。

私は鑑賞券をもらいながらも、一度も映画館に足を運んだことはありませんでした。

 


弟も落ち着き、昨年、入籍し、

来春 還暦の年で、なんと結婚披露パーティーをすることになりました。

 


寅さんはお嫁さんをもらわなかったけど、

弟はお嫁さんをもらうことができました。

 


やっと安心して寅さんの映画を観ることができました。

感慨無量です。

 

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年の瀬の横浜は晴れ渡り、

映画館のあるコレットマーレ

梅蘭でランチしてから観た「寅さん」

忘れられない一日となりました。

 

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  《50年の歩みがあったからこそ完成した映画は、

  生みの親である山田洋次監督自身が

   「今まで観たことのない作品ができた」

  と驚くほど、想像を超える奇跡の映画。》

 

最後に流れる渥美清本人が歌う「寅さんの主題歌」

「そんなに頑張んなくっていいんだよ、

 大丈夫だからさあ」

歌は心にしみじみと染み込んでいきました。

 

 

この冬、劇場に足を運んで「寅さん」に会ってみたら、

忘れていたものを思い出すかもしれません。