港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.184. 《 7日間ブックカバーチャレンジ》〈2〉

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自由学園女子部食堂で使用していた椅子の上に置いて写真を撮りました。

NO.183 《7日間ブックカバーチャレンジ》〈1〉からの続きです。

 

⚫︎5冊目

羽仁もと子選集」

『生活即教育』『おさなごを発見せよ』

(1997年 婦人之友社)

 


二人の息子がお世話になった自由学園では

生徒も親も日常的に創立者羽仁もと子の著作集の読書会をしていました。

父母会委員会で議事の前に輪読し、

感想を述べ合ったことは貴重な経験、良い思い出です。

優れたジャーナリストでもあったミセス羽仁の

簡潔な文章を読むと頭がスッキリします。

常に時代の先を見ていたミセス羽仁が今のステイホーム状況を見たら、

「チャンス到来!」とばかり、学校内ではできない、

生活に根差した教育を最新式の方法で呼びかけられるのではないかと思います。

 


「著作集」は全21巻ありますので、読みこなすのは簡単ではありませんが、

親しみやすく読めるようにと「選集」が出ました。

時がたっても、いえ、今こそ、光る、生活教育の案内書です。

 

 

 

 


⚫︎6冊目

秘密の花園』バーネット

(野沢佳織訳 西村書店 2000年)

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少年少女世界名作全集(小学館)が毎月送られてきた頃、

私はワクワクして新しい本を開きました。

その中でアメリカ編は一番のお気に入りとなりました。

バーネット『小公子』『小公女』『秘密の花園』『ワンダーランド』

イギリスの物語ですが、作者バーネットはアメリカで小説を書いたので、

アメリカ編となりました。

f:id:tw101:20200510083310j:image 写真はお借りしました。

 

何度読んだかわからないほど繰り返し読みました。

結婚で引越しするとき、全集を手放し、

独身時代に別れを告げました。

 


ある日、本屋さんで、この『秘密の花園』に出会いました。

パラパラ ページをめくると、美しい挿絵がいっぱい…

グラハム・ラストの絵でした。

大好きなお話しにふさわしい挿絵に心を奪われました。

もう絶対に手放しはしない一冊です。

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昨夜、読み返していたら、

物語はメアリがインドのコレラで両親を亡くしたところから始まっていることを再認識。

 


感染症はいつの時代にも大きな悲劇を引き起こすのですが、

人は悲劇から立ち直り、再び立ち上がれる!

しかも、一人でなく、

仲間と一緒に立ち上がれるという希望を持たせてくれました。

 



⚫︎7冊目

『水の戯れ』 荒井寿実 (1995年 新風舎) 絶版

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最後の一冊は…一番思い入れのある自作の本にしました。

嫁したら当然家業の仕事をするものだといわれ、

2歳違いの二人の男の子をおんぶして仕事をしていました。

まるで「おしん」のようでした。

次男が小学校に入った時、私は今のままの生き方でいいのか自分に問いました。

忙しい毎日の中でできたことは本を読むことと、物を書くことだけでした。

1994年、毎日新聞への投稿が採用され、

女性記者の取材による「うたものがたり」」が5日間の連載となり、

紹介されました。その時の女性記者さんに「小説を書いているのですよ」と言って読んでもらいました。

すると彼女は「自信を持って頑張ってください!大丈夫!」と背中を押しくれました。

 


そして、自費出版に力を入れた新鋭出版社として

頭角を現してきた新風舎に応募すると、

佳作に選ばれ、100万円で本を出版できる事になりました。

100万円!自費出版としてはそれほど高くない金額でしたが、

もちろん、そんなお金はありません。

諦めかけていた時に、目に止まったのが懸賞論文「毎日新聞21世紀賞」の募集広告でした。

“賞金100万円、副賞に富士通ワープロ

そして最優秀者にはハワイ6ヶ月留学という夢のような賞です。

題は「人間とまち」私は育った大好きな町横浜と、

嫁いだ下町浅草の比較をして、

一気に書き上げ、期限の6月末、ポストに投函しました。

3ヶ月後、入賞内定の知らせが届きました。

 


100万円!10万円をルワンダ難民救済に献金し、

残りの全てをかけて、出版することに決めました。

担当者と相談して、作りあげた一冊の本。

送られてきた本を手にしたときの感動は忘れられません。

 


さて、ジャンルは恋愛小説…

当時は「失楽園」を筆頭に不倫小説全盛期でしたから、

「主婦の願望小説」はピュアすぎて読み応えなかったと思います。

 


それでも、息子にお母さんお友達からは「勇気をもらえた」

「私もできることをやりたい」というお手紙をたくさんいただき、

それがとっても嬉しかったです。

 


また、尊敬する牧師先生から

「あなたの書くものを綺麗事と片付ける人たちも出てくるでしょう。それでいいです。

あなたは綺麗事を書き続けなさい。それがあなたのものだから」

と書かれたお手紙をいただき、

この言葉は今でも大切にとってあります。

 

 


この一冊を世に出してから25年歳月が流れました。

出版社はすでに倒産してしまいました。

 


これで終わってはつまらないかも…次はどうする?と最近思うようになりました。

 

 

《ブックカバーチャレンジ》を続けた7日間は自室にこもりながら、

どこか遠いところへ旅していたような気がします。

コロナ禍の自粛の只中で、内省する十分な時間をもらえたような気がします。

 

私にバトンをつないでくれたお友達の選ぶ本を楽しみにしています。

ブックカバーチャレンジ撲滅キャンペーンもありますが、

楽しんでいる多くの方もいらっしゃるの事実です。

自粛時間をどう過ごすか!それも自由ですね。

 

 


医療従事者の方々をはじめとして、

たくさんの方々の献身的なお働きによって、

今日も無事に過ごせることを感謝する毎日です。