お友達から話を聞き、ずっと行きたいと願っているイギリスガーンジー島。
その島が舞台の映画ですから、
ずっと気になっていた映画をTSUTAYAディスカスでやっと見ることができました。
原題は“The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society”
舌を噛みそうな題です。
まず、あらすじはこうです。
1941年ガーンジー島はナチス・ドイツの統制下にありました。
ある夜、4人の住民が豚肉料理を食べ、自家製ジンを飲むという会の帰り道、ドイツ軍の兵士に咎められました。
当時、ガーンジー島では夜間の外出が禁止されていました。咄嗟に4人は「ガーンジー島文学・ポテトピールパイ同好会という集まりから帰宅する途中です」と答え、兵士たちは4人をそのまま帰しました。
1946年1月、戦争が終わり、新刊の宣伝活動に余念がない売れっ子作家ジュリエット・アシュトンの元に一通の手紙が届きました。
手紙の主、ドーシー・アダムスはガーンジー島の出身者で、「『エリア随筆』に感銘を受けたので、著者であるチャールズ・ラムの他の作品を入手したいのだが、どこの書店に行けば良いのか」と尋ねてきたのです。その手紙には彼がガーンジー島文学・ポテトピールパイ同好会の一員であることも書かれていました。たまたま読書の効能についてのコラムを寄稿することを求められていたジュリエットは同好会に関心を持ち、チャールズの他の本と引き替えに同好会に関する情報を得ることを思いつき、取材のためにガーンジー島に行くことにしました。
船に乗り込むまさにその時、恋人のマークからプロポーズされ、ジュリエットは大きな指輪とともに受け入れます。島に到着した後、ジュリエットが読書会の場に赴くと、会員たち(ドーシー、アメリア、アイソラ、エベン、イーライ)から温かく出迎えられました。ジュリエットは同好会について記事を書きたいと申し出ますが、アメリアは断ります。詳しい理由も聞かぬまま、同好会への押さえがたい興味からジュリエットは島に残り、いろいろ調べているうちに会の創設者であるエリザベスが外国にいること、ドーシーが彼女の娘(キット)の後見人を務めていることを知りました。
時が経つにつれて、ジュリエットの取材を快く思っていなかった読書会のメンバーも徐々に心を開いてくれるようになり、そして、「エリザベスは戦時中に身柄を確保され、ドイツに送致されてしまった。でも、私たちは彼女がいつかこの島に帰ってくると信じている」という話を聞きます。
ジュリエットは軍関係者でもある婚約者のマークにエリザベスがどこにいるのかを調べてもらうことにします。
ほどなくして、ジュリエットは読書会についての記事を書き上げ、それをガーンジー島の首長に見せに行きますが、一読した首長は「エリザベスはこの記事で書かれているような聖女ではありませんよ。戦時中、彼女はドイツ軍の兵士に春をひさぐことで金品を得ていたのです。」と言いました。
ジュリエットがエリザベスの実像を把握しかねる中、マークがエリザベスに関する情報を携えて島にやってきました。
エリザベスの人生も知ったジュリエットはいったんはロンドンに戻りますが、愛する人と生きる人生の意義を知り、気持ちは大きく動き出していきます。
ガーンジー島はイングランド南岸から120キロ南下した英国とフランスの間に位置するチャンネル諸島の一つです。
“レ・ミゼラブル”の生みの親ビクトル・ユーゴーが暮らした「オートヴィル・ハウス」もある美しい島です。
オートヴィル・ハウス
第二次世界大戦でフランスはあっけなくドイツに白旗を揚げ、ナチス・ドイツ
は1940年6月30日にチャンネル諸島に掌握します。
戦況を有利に進めるドイツ軍の勢いに対し、
チャーチル首相率いる英国軍は事前にチャンネル諸島の非軍事化を決定し、
住人の半数は島外に避難。
子どもたちもロンドンに集団疎開を余儀なくされます。
残された島民は占領下での不自由な生活をしていました。
緊急事態宣言下で生活していると、
これまでになく戦争中の不自由さを見にしみて感じられます。
自由に動くことはできないかれど、魂の自由は侵されていません。
それなのに、情報過多のせいで魂が不自由になってしまってはいないかと思います。
ジュリエットが読書会に参加した時、
選ばれた本は彼女の著書「アン・ブロンテ評論」でした。
二人の姉、シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』、
エミリ・ブロンテ『嵐が丘』は超有名ですが、
アン・ブロンテ『アグネス・グレイ』も大変面白い小説です。
「おとなしいアン」ではなく、社会的制約の中で変革を目指したラディカルな
アン・ブロンテを語りあう場面が見ていて本当に楽しそうで、
私も参加したくなりました。
顔の見えない手紙のやり取りで、心を通じさせられた「文通」
手紙…古いけれど、新しいのではないかと思いました。
ジュリエットは何が幸せかを知り、勇気と決断をもって先に進む場面には
涙があふれてきました。
それは悲しい涙でなく、嬉しい涙…
やっぱり、いつか、ガーンジー島に行ってみたい!心からそう思いました。