港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO. 15 曽根崎心中 お初 徳兵衛 悲恋物語

「此の世のなごり。夜もなごり。死に行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜」
近松門左衛門作「曽根崎心中」の世話物浄瑠璃の有名な道行の言葉です。
天満屋の女郎お初と徳兵衛の悲恋物語は歌舞伎でも描かれていますが、今回は阿木耀子さんプロデュースのフラメンコ特別バージョンを観劇しました。
 
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プロデュース・作詞 : 阿木耀子   音楽監督・作曲 :宇崎竜童
演出・構成・振付 :佐藤浩希 
踊り :お初 鍵田真由美 , 徳兵衛 佐藤浩希 , 九平次 矢野吉峰,
歌:     お初 三原ミユキ, 徳兵衛 三浦祐太郎, 九平次 野本有流
三浦祐太郎さんは三浦友和さん、百恵ちゃんのご子息です。
 
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将来夫婦になろうと約束し合いながらも、どんなに愛し合おうとも、この世で結ばれない若い二人。
この時代飢饉があり、娘は女郎屋に売り飛ばされることも多く、若者は将来に対しての夢も希望もない閉塞感にありました。
それならいっそ、あの世で結ばれようとする心中を近松門左衛門さんが見事に悲恋物語へと仕上げました。さながら、日本の「ロミオとジュリエット」の物語です。
私は角田光代さんの「曽根崎心中」を読んでいきました。
お初の心情が良く描かれていて、涙をそそられました。
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女学校の後輩が書いた本を読み、先輩がプロデュースした舞台を観劇するなんて、とっても素敵な、滅多にない経験だと感動しました。
 
春の嵐は全て邪悪な物を洗い流す禊だったように思えるほどに、静寂な美しい夜のとばりが落ちたころ、一幕の巡礼が始まりました。
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舞殿という、あの世とこの世を結ぶ場で、お初と徳兵衛の心中までの悲しい物語が繰り広げられていきます。
阿木耀子さんの詩は心に沁みます。
 
フラメンコと着物のテイストが融合して絵巻のように美しい華やかな衣装を纏う舞姫たち。
妖しい幽玄の世界に誘います。
はかない人生を終えてしまったお初、徳兵衛の死出の旅は花吹雪舞い、夜空に浮かびあがる月まで飛んでいくように見えました。
 
天皇陛下皇后陛下が舞台をご覧になるはずでしたが、熊本地震が発生したため、急遽取りやめになってしまいました。お二人のお気持ち思いながら、観劇しました。
 
宇崎竜童さんがギターを弾き、歌を歌い、阿木耀子さんやフラメンコダンサーの皆さんが舞台に並ぶと、昔からのファンの方々がスタンディングオベーション、つられて全員が立ち上がり、惜しみない拍手を送りました。
 
舞台終了後、楽屋で阿木耀子さんにお目にかかりました。
 気さくにお話ししてくださり、一緒に記念撮影もしてくださいました。
還暦の私より10もお姉さまですが、本当にお綺麗で、素敵な笑顔がチャーミングでした。
見習いたいと思います。
 
女学校時代のお友達で脚本家のマリちゃんと一緒の楽しいひと時でした。
忘れられない一日でした。