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港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO83. 心と心を結ぶお料理 YUI

亡き父は板前でした。
京橋のブリジストン本社ビルの裏手にあった

割烹料理店くに松の二代目でした。

 

 

先代は父にしっかり者の嫁を娶せました。
女将として抜群の手腕で店を切り盛りしたのが亡き母でした。
ですが、父と母が仲良くしている姿を私は見たことがありませんでした。

母が亡くなってすぐに父は元からの恋人と再婚しました

私は父をゆるすことができませんでした。
和食より洋食を好んだのは、父を疎んじていたからかもしれません。

 

父が亡くなってから、私は和食を良くいただくようになりました。
そして、昨日、職人板さん、親方の腕をふるったお料理をいただき、
父のことを思い出しました。

 

横浜野毛にあるそのお店は、
一見さんは絶対に入れない店構えでした。
大切なお友達が私のために、お昼の時間に、
貸切で特別に開けてくれた特別な時間。

 

カウンターに並んで座り、まずはビールで乾杯。

寡黙そうな親方がこだわりのお料理を
さらりと説明してくれます。
お醤油のない時代に使った調味料、
お酢のさっぱり感があって夏にお誂え向きです。

 

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素材へのこだわりは並ではありません。
少しずつ美しく盛り付けられたお料理は
まず目で味わい、箸を運びます。

お嫌いなものはありませんか?

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そう、嫌いなもの、内臓系、と答えました。
嫌いなものでも、もしかしたら、料理人の腕によって
今までの概念を覆すくらいに食べられるかもしれない。とふと思いました。

思った通りでした。
秋刀魚のはらわた… お嫌でなけば一緒に召し上がってください。

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親方の言葉に従っていただきました。
いつもは残してしまう秋刀魚のはらわた、美味でした。

自分の思い込みがどんなに視点を狭くするか?
こういうちょっとしたことで実感します。

 

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お刺身が続きます。
お塩、特別なお醤油、お醤油、どれも美味しいですが、
白身のお刺身はお塩ををちょっとだけつけていただくのが好きです。

ジュレにした炊き合わせ、握り寿司、アワビとウニ、
私の好みが続きます。

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そろそろおなかがいっぱいになってきました。

その時 目の前に一個丸々の玉ねぎ。
美味しそうだけど、こんなに食べられる?

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と、ちょっと不安になった私に
玉ねぎの中のイノシシの肉を召し上がってください。

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甘めのお味噌と玉ねぎの甘さと相まって絶品のイノシシ。
ジビエ… 初めていただきました。

 

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鱧をすり身の素麺が入ったお椀と鱧ご飯。
美味しいけれど、もうおなかいっぱい。

そして最後の締めは鴨南蛮。
お蕎麦もわざわざ打ってくれた絶品。

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完食。

 

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デザートにはHAPPY BIRTHDAY

 

父の思い出話しをするうちに
無口そうな親方にいろいろ質問をしてしまいました。

 

海外に日本料理店が進出していますが、和食の将来は?
日本人の味覚に「旨味」がありました。
薄味、ダシの味わい、そういう繊細な舌を急速になくしてしまっている現代人。
濃い味でごまかしたものばかり子どもの頃から食べ続けたら、
和食の味がわからなくなってしまいます。
風前のともしびの和食文化。

 

和包丁や漆食器の話しも興味深く、
父の残した和包丁、ちゃんと研いでみようと思いました。

 

 

そして最後に
「料理人になろうと思ったきっかけはなんですか?」と聞いたところ
「母親にホットケーキを作ったら、美味しいと褒めらて」と…
小学生の時のことだそうです。
自分ではそれほど美味しいと思わなかったホットケーキ。
お母さんは息子に作ってもらって、どんなに嬉しかったことでしょう。
お話し聞いて、ホロリときました。

料理は愛情です。
親方のお料理の原点は大切な人に喜んでもらいたいという愛情です。

 

 

お店の名前はー結 ーYUI

人と人との心を結びます。
美味しいお料理を一緒に食べると、人は心が和らぎます。

最高のひとときを過ごしました。
エミちゃん 、ありがとうございます。

新蕎麦の時期、土瓶蒸しのとき、
また来ますねとお約束してお店をあとにしました。