浄土ヶ浜 ここはまるで浄土に導かれるような静謐な美しさに満ちています。
…宮古山常安寺七世霊鏡竜湖和尚(1727年没)が人里離れたこの地を訪れ、
その美しさに驚嘆、あたかも極楽浄土が再現されたかのようだと
七言絶句を詠み、これが浄土ヶ浜の名の起こりとも言われます。
岬先端部には霊鏡和尚が建立したと伝えられる子安地蔵が安直されています…
と、観光案内に書いてありました。
この時期にしては、汗ばむくらいの日差しにあふれた快晴のもと、
遊覧船に乗り込みました。
シーズンオフの平日のせいか、乗船するのは私だけでした。
貸切です。
もったいない…と一瞬思ったほどです。
たった一人のお客様が喜んでいただければ嬉しいという言葉は
こういう時のためにあるのですね。
だから、私は思い切り楽しみましょうと元気よく乗船しました。
カモメの水兵さんの制服姿のお嬢さんが
専属ガイドをしてくれます。
ローソク岩
火成岩が周囲の水成岩を突き破って形成され、
岩脈部分が露出し全体が見られる大変珍しい岩です。
「今日は本当にいいお天気ですね。
お客さん、良かったですね」 と声をかけてくれます。
ガイドの合間にこちらも質問しました。
震災の時は中学生だったこと、
同級生は5人しか宮古に残っていないこと、
買い物は2時間かけて盛岡にいきますよ。
映画館はこないだなくなってしまったんですよ…
7時過ぎたら家でテレビ見るしかないですよ…
東京に行って暮らしたいとも思うけど、
宮古が好きだし…
横浜ですか? いいですね、修学旅行で行きました…
明るくニコニコと話してくれましたが
オリンピックにお金かかるんですよね、
困ってる家いっぱいあるんですよね…
とふと顔を曇らせました。
若い世代の子どもたち希望を持てない国になってしまった…
日本はこれでいいのかしら…
こんな美しい海に囲まれ、自然の恵に溢れる豊かな日本、
蒼く広がる空と海、恐竜時代の地層も見える切り立った崖、
色づき始めた森、
外国のいろんなところに行ったけれど、
やっぱり日本の自然の景色素晴らしいと思います。
ありのまま自然を大切にしている優しさが伝わってきます。
奥に見える家屋の部分まで津波は到達したそうです。
観光船を降りたら、次はボート乗って青の洞窟の探検。
水深8メートルの底まで見える透明度です。
よく見るとたくさんのウニが目に入ってきました。
この辺りはウニが有名で、とっても美味しいそうです。
ここに大人の休日倶楽部の宣伝広告用撮影で吉永小百合さんがいらしたそうです。
青の洞窟探検を済ませたら、お腹が空いてきました。
ホテルに戻って、ダイニング「最高東端」でランチタイムにしました。
テラス席を独り占めです。
松林の向こうに海が広がる景色を眺め
小鳥のさえずりを聞きながら、
香り豊かな松茸と生ハムのパスタをいただきました。
今年は松茸が大豊作だそうです。
ホテルのスタッフの対応は親切で、好感が持てます。
一人でゆっくりしているのもいいけれど、
今度はお友達とワイワイ来るのもいいなあと、ふと、思いました。
復興、何をしても、元の状態に戻すことはできないでしょう。
それなら、より良いものを、今から作り出すしかありません。
微力でも無力でない 、この言葉を噛み締め、
何かを始めていきたいと思いました。