港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.131 「母」いよいよ上映です

 

プロレタリア文学の旗手と呼ばれた小林多喜二の母小林セキの
一生をプロテスタント作家三浦綾子が描いた小説「母」
その映画を観てきました。

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監督は御年85歳の最高齢女性監督 山田火砂子さんです。
山田さんは知的障害をもったお子さんを育てられました。
社会の弱者への温かい眼差しの映画を作られてきましたが、
最近の風潮に危機意識を持ち、
なんとしてでも伝えなければいけないという熱いパッションをもって、
「母」のメガホンを取られました。

 

 

「私の人生」 というメッセージでこう書かれています。

前略…
その頃の日本は貧しい国なのに軍備だけは一等国なみに
作っていたので国民の生活は、酷いものであった。
一部の金持ちだけが優雅な暮らしをしていただけ。
多喜二はこんな時代に青春を生きていた。
小樽の裏町を歩き、酷い暮らしをしているタコと言われる労働者を見たり、
この世の不条理を嫌というほど見せたれ、
この国は狂っている、人民に良い暮らしをと
社会主義になる。
この頃の多喜二は銀行に就職していて
当時の学校の教師の給料の倍ももらっていたのに、
そのまま生きていたなら、
日本が戦争に負けてから軍国主義でなく消費国になったので
多喜二はどんな高給をもらい豪邸に住んでいたでしょう。
でも、彼は人民大衆にもっと豊かな生活をと望み、
官権によって虐殺されてしまいました。
生きていたらもっともっと本が書けたのに、
日本という国は芸術家を大事にしない国。
私は本当に悔しいかぎりです。(終)

  

 

山田監督の叫びは映画のあちこちに聞かれます。

多喜二の死後の、太平洋戦争時、セキは共産主義とみなだれ、
非国民扱いされていました。

お隣さんのおばさんは、セキに優しく接していますが、
ある日、こっそりセキに言います。
靖国の母なんかならなくていい。
無事に息子に帰ってきてほしい」って言って人がいるわよ。

ここだけの話よ。

 

 

この台詞は最初はなかったそうです。
撮影の前日、台詞が変わったことをFAXで受けた
神田さち子さんはびっくりしましたが、
この台詞を噛み締めて演じられました。

母の思いはみな同じです。
誰が好き好んで大切な息子を戦場に送るでしょうか。
与謝野晶子は弟に『君死にたもうことなかれ』とよみ、

『お国のためとして笑顔で送り出しはするものの
母親や妻にとっては戦争ほど呪わしいものはない』
市川房枝さんは言いました。

 

 

今、私たちはとりあえず、言いたいことが言えています。
いろいろなところで見張られていても、
一般市民レベルではまだ言論の自由は確保されています。


でも、これから先、大丈夫でしょうか。
共謀罪なんてものを作りたい方たちの熱い思いが通ったら、
大変なことになります。
思考停止している場合ではないでしょう。

 

この映画を制作した現代ぷろだくしょんは
昭和26年山田典吾、山村聰森雅之、夏川静江らの人々を
中心にした俳優集団を母体としています。
昭和28年 「村八分」の撮影開始からずっと社会派映画を取り続けています。
山田典吾監督は亡くなってしまいますが、夫人の火砂子さんが
志を継ぎ、映画を取り続けています。

映画は制作費がかかります。
娯楽映画でないので、台所は火の車でしょう。
去年、音楽プロデューサーという立場になり、大変な思いをしたので、
私は制作側に回って見てしまうようになりました。

 

小山まで出かけて撮ったエキストラ場面は
残念ながら時間の都合でカットされていました。
映画デビューできませんでしたが、
宣伝費がないというお話し聞いて、何かお手伝いをと思いました。

写真撮影大丈夫ですか?とお聞きしたら、

どうぞ、宣伝してくださいとおっしゃっていただきました。
多くの方に見ていただきたいです。

寺島しのぶさんの演技は

愛情あふれる控えめながら心の熱いセキそのものでした。

 

 

 

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昨日、東京江戸博物館で上映会では
山田監督を始め
小林多喜二塩谷瞬
小林三吾役 水石亜飛夢
宮本百合子役 露のききょう
山本夫人役 神田さち子
セキ子役 上野神楽

みな様の舞台挨拶がありました。

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極道役の進藤龍也牧師にもお目にかかれて嬉しかったです。

 

f:id:tw101:20170211082118j:image小林多喜二塩谷瞬さん

 

f:id:tw101:20170211082147j:image 宮本百合子役 露のききょうさん

 

f:id:tw101:20170211082216j:image 棒頭役 進藤龍也牧師

 

週刊金曜日にも特集が掲載されています。

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カソリック作家 遠藤周作原作 沈黙
プロテスタント作家 三浦綾子原作 母

私に大きな影響を与えた二人の作家の作品の映画を
同じ週に観ることができ、思考全開。

信仰と言論の自由を守るために、
できる限り努力しようと思います。

母 に上映劇場は以下の通りです。
ぜひ、お出かけください。

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