港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.147「赤毛のアン」全文訳 訳註付 刊行されました!

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文春文庫「赤毛のアン」シリーズの第1巻「赤毛のアン」が7月に刊行され、

9月に続いて第2巻「アンの青春」が発売されました。

昨日、神田神保町三省堂書店で翻訳者松本侑子先生の

〜謎とき「赤毛のアン」〜というタイトルのトーク&サイン会が開催されました。

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小学生時代、村岡花子先生の翻訳で読んで以来、

掛川恭子先生訳でも何度も何度も読みかえし、半世紀が過ぎました。

ちなみに「赤毛のアン」はこれまで岸田衿子さんを含め、

10人の方が翻訳されています。

 

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テレビ「花子とアン」でも描かれていた村岡訳は

1952年出版です。

当時、日本は終戦後、食べるものとてない時代、

そんな読者に

例えば、「ラズベリーコーディアル」などわかるはずもありません。

村岡先生ご自身も知らないことが多かったことでしょう。

いつか、日本が復興し、この本が隅々まで翻訳されることを祈りながら、

空襲の最中も翻訳されていたのではないかと思います。

 

 

 

満を持して、松本侑子先生が「赤毛のアン」の全訳をされ、

1993年4月に集英社から発行されました。

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1987年にすばる文学賞受賞作「巨食症の明けない夜明け」は読んでいましたが、

赤毛のアン」の翻訳もされることを知り、

私はこの単行本を買って読み耽りました。

これまでの翻訳とは明らかに違いました。

村岡訳ではなかった部分も多くありました。

「すごい!すごい!『赤毛のアン』は児童文学でなく、

聖書や、シェークスピアワーズワース、ブラウニング、

スコットの言葉や詩が散りばめられた珠玉の文学であることが、わかりました。

 


2009年春、私はプリンス・エドワード島に行くことを決め、

多くのツアーの中から「松本侑子さんと行くプリンス・エドワード島」という

ケイライントラベル企画のツアーに参加しました。

その後、毎年のようにイギリス、イタリア、スイス・オーストリアアメリカ、

スペインへのツアーに参加し、

侑子先生と行く海外文学ツアーは私の人生に鮮やかな彩りを与えてくれました。

 


一緒に旅をするうちに、同じ物を同じように感動し、

魂が共に成長していくようになり、

「心の同類」‘a kindred sprit‘

であることがわかり、私にとって「侑子先生」はいつしか「侑子ちゃん」

という親しみのある方に変わっていきました。

 

 

 

集英社翻訳書編集部がなくなってしまい、

赤毛のアン」翻訳シリーズの先行きはいかにという時に、

文春文庫から刊行されることになりました。

 


集英社版の翻訳から更にバージョンアップして、本編に加え、

注釈は353箇所あります。

 

 

例えば、「心の同類 」  ‘a kindred spirit ‘  という言葉について言えば、

第4章 グリーン・ゲイブルズの朝 

(2)心の同類

〜イギリスの詩人トーマス・グレイ(1716〜71)の詩

「田園の教会で書いた哀歌」(1750)、

エリザベス・フォン・アニム著『エリザベツとドイツの庭』(1898)に同じ言葉がある。〜

 


とあります。なるほど、この言葉はモンゴメリの造語でなく、

すでに、読んでいたのね。という事がわかります。

 

 


まず、物語を味わう!

それから、どうしてここにこの言葉が来るのか

と不思議に思ってみる!

調べてみたら、もっと深いことがわかってくる!

これが知識欲。

 


赤毛のアン」はアニメで熟知している方も多いはず。

その次のステップを踏むとさらに世界が広がるのでは…

と思います。

 


次回は大人の文学「赤毛のアン」の楽しみを

ご紹介したいと思います。