文春文庫「赤毛のアン」シリーズの第1巻「赤毛のアン」が7月に刊行され、
9月に続いて第2巻「アンの青春」が発売されました。
〜謎とき「赤毛のアン」〜というタイトルのトーク&サイン会が開催されました。
小学生時代、村岡花子先生の翻訳で読んで以来、
掛川恭子先生訳でも何度も何度も読みかえし、半世紀が過ぎました。
10人の方が翻訳されています。
テレビ「花子とアン」でも描かれていた村岡訳は
1952年出版です。
当時、日本は終戦後、食べるものとてない時代、
そんな読者に
例えば、「ラズベリーコーディアル」などわかるはずもありません。
村岡先生ご自身も知らないことが多かったことでしょう。
いつか、日本が復興し、この本が隅々まで翻訳されることを祈りながら、
空襲の最中も翻訳されていたのではないかと思います。
1993年4月に集英社から発行されました。
1987年にすばる文学賞受賞作「巨食症の明けない夜明け」は読んでいましたが、
「赤毛のアン」の翻訳もされることを知り、
私はこの単行本を買って読み耽りました。
これまでの翻訳とは明らかに違いました。
村岡訳ではなかった部分も多くありました。
「すごい!すごい!『赤毛のアン』は児童文学でなく、
スコットの言葉や詩が散りばめられた珠玉の文学であることが、わかりました。
2009年春、私はプリンス・エドワード島に行くことを決め、
多くのツアーの中から「松本侑子さんと行くプリンス・エドワード島」という
ケイライントラベル企画のツアーに参加しました。
その後、毎年のようにイギリス、イタリア、スイス・オーストリア、アメリカ、
スペインへのツアーに参加し、
侑子先生と行く海外文学ツアーは私の人生に鮮やかな彩りを与えてくれました。
一緒に旅をするうちに、同じ物を同じように感動し、
魂が共に成長していくようになり、
「心の同類」‘a kindred sprit‘
であることがわかり、私にとって「侑子先生」はいつしか「侑子ちゃん」
という親しみのある方に変わっていきました。
集英社翻訳書編集部がなくなってしまい、
「赤毛のアン」翻訳シリーズの先行きはいかにという時に、
文春文庫から刊行されることになりました。
集英社版の翻訳から更にバージョンアップして、本編に加え、
注釈は353箇所あります。
例えば、「心の同類 」 ‘a kindred spirit ‘ という言葉について言えば、
第4章 グリーン・ゲイブルズの朝
(2)心の同類
〜イギリスの詩人トーマス・グレイ(1716〜71)の詩
「田園の教会で書いた哀歌」(1750)、
エリザベス・フォン・アニム著『エリザベツとドイツの庭』(1898)に同じ言葉がある。〜
とあります。なるほど、この言葉はモンゴメリの造語でなく、
すでに、読んでいたのね。という事がわかります。
まず、物語を味わう!
それから、どうしてここにこの言葉が来るのか
と不思議に思ってみる!
調べてみたら、もっと深いことがわかってくる!
これが知識欲。
「赤毛のアン」はアニメで熟知している方も多いはず。
その次のステップを踏むとさらに世界が広がるのでは…
と思います。
次回は大人の文学「赤毛のアン」の楽しみを
ご紹介したいと思います。