港も見える丘から

人生のゴールデンエイジにふと感じることを綴っていきます

NO.148. 大人の文学『赤毛のアン』

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〈写真は朝日の当たるグリーン・ゲイブルズ  私が撮影しました。

そしてプリンスエドワード島の地図

小さく見えますが島の東西は200キロ。思うより大きな島です。)


赤毛のアン

著者はL M モンゴメリ

本名はルーシー・モード・モンゴメリです。

 


        (大ベストセラー「若草物語」の著者は

        ルイザ・メイ・オルコットLMオルコットで、

        ルーシーは思い込めて同じ頭文字を使ったのではないかと

        密かに思います。)

 


さて、原題は‘Anne of Green Gables ‘

そのまま訳せば「みどり色した切妻屋根の家のアン」

それをきっぱり「赤毛のアン」と訳した村岡花子先生。

素晴らしい感性です。

 

 

 

 


そして、その「赤毛のアン」を徹底的に解明した

松本侑子先生の感性と研究心すごいです!

深く尊敬しています。

 


さて、何が、どうすごい!のでしょう…ということを

私の大好きな場面を少しご紹介したいと思います。

 


農場の手伝いをしてくれる男の子を望んでいた

マシューとマリラの兄妹のところへ

手違いで連れてこられた女の子のアン・シャーリー

間違えを正すために一度返されることになったアン。

返す道すがら、マリラはアンの生い立ちを聞いていきます。

その場面が書かれている「第5章アンの生い立ち」からです。

生い立ちを問われてアンが答えます。

 


「この3月で11歳になったんです。生まれはノヴァ・スコシアのボーリングブルック。

お父さんはウォルター・シャーリーといってボーリングブルック高校の先生、

お母さんはバーサ・シャーリーよ。

ウォルターとバーサ、すてきな名前でしょう?

両親がきれいな名前でよかったわ。

もし、お父さんの名前が…そうね、ジュデダイアだったら、

生涯重荷になってたでしょうね」

「人は名前よりも行いが肝心ですよ」

マリラは、立派なためになる教訓も垂れるべきだと思って言った。

 


「まあ、そうかしら」アンは思慮深い顔つきになった。

「薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香るだろうって

本で読んだけど、絶対にそんなことはないと思うわ。

もし、薔薇が薊(アザミ)とか、座禅草(スカンクキャベツ)と呼ばれたら、

あんなにいい香りはしないはずよ」

 


‘薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香るだろうって本で読んだけど’という言葉に

侑子先生は注目します。

出典があるはず!それは何?

 


答えはシェークスピア劇『ロミオとジュリエット』にありました。

第二幕第二場ジュリエットは同じ一節を語ります。

なぜロミオなの?いっそ名前を捨ててください。

名前はどうでも、あなたは愛しいロミオ様…

 

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ジュリエットはどんな名前でも、その人や物に

関係ないとする現実派。

一方、アンは名前こそ大事。言葉、文学の世界に生きる少女と描いています。

 


なるほど…。思います。

 


また、名前についても

マシューはイエスの12弟子、マタイ。

マリラは聖母マリアの変形、

アンは聖母マリアの母  アンナの変形。

 


カスバートは7世紀に生きた聖カスバートからつけた名前で、

聖カスバートはケルトキリスト教の象徴と説明があります。

 


マリラの親しいリンド夫妻

レイチェルは旧約聖書に出てくるラケル

レイチェルのトーマスはイエスの12弟子トマス。

リンドはスコットランドに由来する名前。

 


アンの赤毛スコットランドの特徴。

カスバート家、リンド家、アン、みなスコットランドから移民であることがわかってきます。

スコットランドは長老派プロテスタント多い国です。

おそらく、宗教、政治の考え方が同じで親しくなるのだと推測されます。

 


アンの「腹心の友」ダイアナ・バーリーはといえば…

黒髪のダイアナはアイルランド系移民です。

アイルランドは少し複雑で南のアイルランド共和国カトリックの国ですが、

北アイルランド(英国)には長老派教会の信者が大勢います。

ダイアナは北アイルランドからの移民でアンと同じ長老派教会の信者です。

(ちなみに英国は英国国教会聖公会です。)

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松本侑子先生は長年に渡って調べ、

実際に現地のプリンスエドワード島のみならず、

モンゴメリの足跡を追って世界を回ってきました。

お話は大変興味深いです。

直近では朝日カルチャーセンター新宿で

10月19日、11月9日、12月7日

赤毛のアン」の世界全3回が開催されますので、

是非、いらしてください。

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また、本もたくさん出ていますので、

読んでみてください。

面白いです。

 


さて、「アンの青春」’Anne of Avonlea’は

アボンリーで教師になった16歳のアンが描かれています。

 


この秋、Kindleにある全シリーズの英文(無料)と照らし合わせ、

訳註を読んで、勉強しようと思います。

楽しみは続きます。